所得税の申告と住民税の申告における課税方式の変更について1~配当所得~

特定口座で分離課税の株式等の譲渡所得や配当所得がある場合でも、譲渡損を繰り越したりする場合などは確定申告することがよくあるかと思います。あと、配当所得をあえて総合課税に持っていって配当控除をした方が所得税の負担が軽くなるから確定申告する、というケースもよく見受けられます。

 ところで、配当所得をあえて総合課税に持っていった場合、このままだと当然、住民税も総合課税で計算されるわけですが、実は住民税はやっぱり分離課税のままにしておくということも可能です。なぜそんなことをするのかというと、住民税はいま総合課税分がフラット税率で10%、これに配当控除(2.8%)が適用されるとネットで7.2%なので、これは分離課税の5%を上回るからです。

 で、手続きです。まず、市町村民税の条文を確認します。

■地方税法317条の3(45条の3(道府県民税)もだいたい同じです)

  第294条第1項第1号の者が前年分の所得税につき所得税法第2条第1項第37号の確定申告書(以下本条において「確定申告書」という。)を提出した場合(政令で定める場合を除く。)には、本節の規定の適用については、当該確定申告書が提出された日に前条第1項から第4項までの規定による申告書が提出されたものとみなす。ただし、同日前に当該申告書が提出された場合は、この限りでない。

 「同日前に当該申告書が提出された場合は」ということは、条文上は所得税の確定申告書を提出する前に住民税の申告書を提出する必要が生じます。しかし、実は実務的にはここはそれほど下厳格には運用されていないようです。たとえば、大阪市のwebによると、

 「納税通知書が送達される日までに、確定申告書とは別に、市民税・府民税申告書をご提出いただくことにより、所得税等と異なる課税方法(申告不要制度、申告分離課税)を選択することができます。(例:所得税等は申告分離課税、個人市・府民税は申告不要制度)」

と記載されています。なので、順番が、所得税の申告→住民税の申告となっていても納税通知書が送達される日までだったら住民税の課税方式は所得税のそれから変更可能ということです。

 このような実務上の運用をふまえて、29年度の税制改正大綱では「上場株式等に係る配当所得等について、市町村が納税義務者の意思等を勘案し、所得税と異なる課税方式により個人住民税を課することができることを明確化する。」とされていたところです。

これを受けて、平成29年4月1日、総務省は次の通り通知を出しました。

「地方税法の施行に関する取扱いについて(市町村税関係)の一部改正について」(※道府県民税も同様です。)

16の3  法第3 1 3 条第1 3 項又は第1 5 項の規定の適用に当たっては、法第 3 17 条の 2 第1項の規定による申告書及び法第 3 1 7 条の3第1項に規定する確定申告書(その提出が法第 3 1 7 条の2 第1項の規定による申告書の提出とみなされるものに限る。)のいずれもが提出された場合には、必ずしも確定申告書を優先して 課税方式を決定するのではなく、これらの申告書に記載された事項その他の事情を 勘案して決定するものであること。 (法 3 1 3⑬・⑮)

ということです。

税理士+7906 日目 since 2000/2/24  大阪市西区の税理士、櫻井圭一です。

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