かなりひさしぶりにまじめに条文を読みましょう。
令和2年分の所得税から創設された「ひとり親控除」。
そして、従来からある「寡婦控除」
どこが、違うのか❓
「ひとり親控除」はいわゆる「未婚の親」をターゲットとしています。
寡婦(夫)控除が、婚姻歴の有無により適用関係が異なることが、問題となっていました。
この不公平感を解消するために導入されました。
財務省https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei20/kojin.html#kojin01
visited in 2021/4/2
で、論点です。タイトルのとおりこれらの制度、どこが違うのか❓
控除額はこんな風にかわります。
財務省https://www.mof.go.jp/tax_policy/publication/brochure/zeisei20/kojin.html#kojin01
visited in 2021/4/2
⬆「未婚のひとり親」が控除対象者となったことはこの図からよくわかります。
じゃあ、いままで「寡婦(夫)控除」の適用を受けていた人はどうなるの❓
図からは、従来どおり、35万円or27万円の控除を受けることができるので何もかわっていない❓
合計所得金額500万円超の寡婦控除はなくなった
もうひとつ。
従来の寡婦(夫)控除の適用対象者は、「寡婦(夫)控除」ではなく「ひとり親控除」の適用対象者に移行するケースがある。
ここからさきは、条文の読み方なので、一般の方はまあどうでもいいことかもしれないので、よみとばしてください💦
「寡婦」の定義が変わっています。
所法2三十 寡婦
次に掲げる者でひとり親に該当しないものをいう。
イ 夫と離婚した後婚姻をしていない者のうち、次に掲げる要件を満たすもの
(1) 扶養親族を有すること。
(2) 第70条(純損失の繰越控除)及び第71条(雑損失の繰越控除)の規定を適用しないで計算した場合における第22条(課税標準)に規定する総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額(以下この条において「合計所得金額」という。)が500万円以下であること。
(3) その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
ロ 夫と死別した後婚姻をしていない者又は夫の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、イ(2)及び(3)に掲げる要件を満たすもの
「ひとり親に該当しないもの」が「寡婦」なので、まずは「ひとり親」に該当するかどうか判定しないといけないのですね。
そのうえで、ひとり親の要件をみたせば「ひとり親控除」の対象だし、そうでなければ「寡婦控除」が適用される、とこういう段取りになります。
さて、「ひとり親」の定義は、
所法2三十一 ひとり親
現に婚姻をしていない者又は配偶者の生死の明らかでない者で政令で定めるもののうち、次に掲げる要件を満たすものをいう。
イ その者と生計を一にする子で政令で定めるものを有すること。
ロ 合計所得金額が500万円以下であること。
ハ その者と事実上婚姻関係と同様の事情にあると認められる者として財務省令で定めるものがいないこと。
なので、たとえば、夫と死別した後結婚していない方は、どっちやねんと思うかもしれませんが、
「ひとり親」の定義中の「現に婚姻していない者」に該当するので、他の要件を満たせば「ひとり親」に該当しますので、「寡婦」には該当しない、ということです💦
大阪市西区の税理士・櫻井圭一でした😛