交換か相互売買かが争われた判例から考えたこと。

この有名な判例、東京高判平成11年6月21日(訟務月報47巻1号184頁、判例時報1685号33頁、判例タイムズ1023号165頁)(ちなみに上告不受理)。

で、結局は納税者が採用した法形式(相互売買)で課税関係が構築されることになったのですが、以前、ここからさらに余計なことを考えたことがあります。

■負担付贈与か相互贈与か??

 負担付贈与について譲渡所得課税をするという立場では、贈与者に負担額相当額を収入金額とする譲渡所得、受贈者には贈与資産の時価と負担額との差額に贈与税が課税されることになるのに対して、相互贈与の場合には贈与者に負担額相当額、受贈者に贈与資産の時価相当額について贈与税課税されることになり、通常は税負担の軽減ははかられないことになります。
 しかし、
 (ア)贈与者について贈与税率と譲渡所得税率との差異
 (イ)受贈者について相続時精算課税制度
を利用すれば、さしあたっての税負担の軽減は可能でしょう。
 個人が負担付贈与として資産を他の個人へ譲渡した場合には、それが民法上も負担付贈与である限り、譲渡所得税の課税問題は生じないとする見解は実際にあります(北野弘久・税法学原論第五版133頁)。この見解においては負担付贈与が仮装行為でない限りは、贈与者と受贈者の間に双方向の贈与があったものとして課税関係を構築する立場を採られています(前掲北野213頁)。

【設例】
 甲(親・60歳以上)から乙(子・20歳以上)に対して甲所有の土地(時価2500万円・所有期間10年・取得費5%)を贈与し、同時に乙は甲から債務(500万円)の引受けをする。

(1)負担付贈与の法形式を選択した場合

   甲(贈与者):
     譲渡所得税(住民税含む)
      ={500万円-(500万円×5%)}×20%=95万円
   乙(受贈者):
     贈与税=2500万円-500万円=2000万円≦2500万円
     ∴ 相続時精算課税の適用があるため贈与税0 

(2)相互贈与の法形式を選択した場合

甲(贈与者兼受贈者):
贈与税=(500万円-110万円)×20%-25万円=53万円

乙(受贈者兼贈与者):
贈与税=2500万円≦2500万円
∴ 相続時精算課税の適用があるため贈与税0

 結果的に、乙は相続時精算課税制度の適用を受けるためいずれの法形式を選択しても贈与税は0ですが、相互贈与の法形式を選択した場合には、甲の譲渡所得税は贈与税率と譲渡所得税率との差異と贈与税の基礎控除分の税負担が軽減されたことになります。もちろん。精算課税ですので、将来の相続税がどうなるかはわかりませんが・・・

 このような租税回避行為については、やはり当事者の真実の意思がどうであったかが問題となるでしょう。

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